ポイント
・2025年度予算案額は158.4 億円で、対前年度36.5億円増
・中小企業に不当に不利益を与える行為の取締り強化のため9.4億円を計上
・25年内に全部施行予定の「スマホソフトウェア競争促進法」の迅速・効果的運用のため3,800万円を計上
・衆参両院は公取委員長に茶谷栄治・前財務事務次官を充てる人事に同意
公正取引委員会の2025年度予算案額は158.4億円(デジタル庁一括計上分を含む)で、対前年度36.5億円の増加となった。
重要施策別に見ると、
(1)「厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用」に6.5億円(対前年度1.4億円増)
(2)「中小企業に不当に不利益を与える行為の取り締り強化」に9.4億円(同2.3億円増)
(3)「競争環境の整備」に4.4億円(同2.7億円増)
(4)「競争政策の運営基盤の強化」に3.2億円(同0.2億円増)
(5)「その他」に134.6億円(同29億円増)
が、それぞれ計上されている。(5)「その他」の区分が昨年より大幅に増額しているのは、25年度中に予定される公正取引委員会の庁舎移転に必要な経費31.1億円が計上されていることによる。なお、庁舎移転関連経費については24年度補正予算においても13億円強が計上された。
上記のうち、主な政策を挙げれば以下のとおりである。
中小企業に不当に不利益を与える行為の取り締り強化
中小企業等の価格転嫁円滑化に向けて、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の協議を経ない取引価格の据え置きなどの優越的地位の濫用、下請法違反行為への厳正な対処や、その未然防止などの取り組みを実施する。
競争環境の整備
25年12月19日までに全部施行が予定される「スマホソフトウェア競争促進法」(※)の迅速かつ効果的な運用を図るため、同法に関する情報提供、相談窓口の運営に必要な経費として3,800万円を計上した。また、同法施行に伴う執行体制を強化するため、官房デジタル・国際総括審議官や官房参事官(デジタル担当)の新設に加え、定員を35人増員する。
(※)スマートフォンの利用に特に必要なアプリストア等の特定ソフトウェアについて、セキュリティの確保等を図りつつ、イノベーションを活性化し、消費者の選択肢の拡大を実現するために競争環境を整備する法律。正式名称は「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」
茶谷前財務次官が公取委員長に
政府は2月28日、次期公正取引委員会委員長に茶谷栄治氏(みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社理事長、前財務事務次官)を充てる人事案を国会に提示した。
3月13日に参議院議院運営委員会で茶谷氏の所信聴取・質疑が行われ、その中で同氏は、「デジタルプラットフォーム事業者による反競争的な行為に厳正に対処していく必要がある」とし、スマホソフトウェア競争促進法については「円滑に施行されるよう、着実な準備を行った上で、実効的な法運用を行っていくことが求められている」と述べた。
本人事案については3月25日に衆議院が、26日に参議院がそれぞれ同意し、茶谷氏が、25年5月に定年退官する古谷一之・公正取引委員会委員長の後任に就くことが決まった。茶谷氏の任期は、前任である古谷委員長の残任期間である28年3月まで。
公正取引委員会の関連リンク
・令和7年度公正取引委員会予算等の概要
・令和7年1月8日付け 事務総長定例会見記録
・令和6年度補正予算(第1号)案について
・令和6年12月4日付け 事務総長定例会見記録
・「スマホソフトウェア競争促進法」の概要