ポイント
・2025年度予算案のうち農林水産関係は総額2兆2706億円(前年度2兆2686億円)
・食料安全保障強化や農村の持続的発展へ構造転換を図る
・水田での戦略作物の本作化、麦や大豆の作付け拡大を推進
・デジタル化やスマート化、カーボンニュートラル実現にも貢献
2025年度予算案は農林水産関係で総額2兆2706億円(前年度2兆2686億円)を計上した。食料・農業・農村基本法の改正を踏まえ、食料安全保障の強化、環境と調和の取れた食料システムの確立、農業の持続的発展や農村の振興を狙い、農業の構造転換の実現に向けた施策を初動の5年間で集中的に実行するとした。
食料安全保障強化
水田での戦略作物の本作化・畑地化、麦や大豆の作付け拡大やブロックステーション、保管施設の整備、商品開発等の取り組みを推進する。水田活用の直接支払い交付金などに2870億円(同3015億円)を計上した。野菜や果樹の生産基盤強化、野菜種子の安定的供給確保、国産肥料の生産拡大、輸出産地拡大やフードバンクや子ども食堂などへの多様な食料提供へ地域の関係者が連携する体制づくりを進める。
農業の持続的発展
農地の大区画化、水田の汎用化・畑地化など農業農村整備事業に3331億円(同3326億円)を盛り込んだ。人材育成事業などを通じ新規就農者の確保を図り、スマート農業技術の社会実装の加速化を強力に進めるため、技術開発や生産方式革新に力を入れる。
農村活性化
農泊、農福連携など地域資源を活用した付加価値創出、棚田地域の振興を重視した。スマート鳥獣害対策推進や鳥獣被害防止対策の推進とジビエ利用拡大推進に100億円(同100億円)を計上した。
カーボンニュートラル実現・花粉症解決に向けた対策
森林吸収源の機能強化、国土強靭化に向けた間伐や再造林、森林整備対策の推進に向け、森林整備事業1256億円(同1254億円)を盛り込んだ。また林業のデジタル化・イノベーションの推進、木材需要創出など森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策に144億円(同144億円)を充てた。
水産資源の適切な管理と水産業成長強化
海業の全国展開、拠点漁港の機能強化、国土強靭化を推進する水産基盤整備など水産基盤整備事業に731億円(同730億円)。資源調査や漁業経営安定化、海洋環境の変化や資源管理を踏まえた漁獲対象魚種・漁法の拡大・転換、養殖転換など新たな操業・生産体制へ転換を図る。スマート水産業の推進や、水産物の安定供給に向けた加工・流通システムを推進する。
関連リンク
・令和7年度農林水産予算概算決定の概要 – 概要や骨子、重点事項、主要項目など。農林水産省
・「食料・農業・農村基本法」の改正法が成立 – 政策ニュース.jp(2024年5月30日)